2017-08-06 00:00 | カテゴリ:報道問題
■総務省の「電波利権」業者との「蜜月の時代」は異分子参入で終焉の時が来た 宇佐美典也

2017.8.5 産経ニュース

 日本では聞き慣れない言葉に「電波オークション」という言葉がある。

 これは電波の周波数を競争入札で決める方式で、OECD(経済協力開発機構)加盟の先進国34カ国中31カ国で実施されている。世界では当たり前の制度である。(夕刊フジ)

 日本では現在、電波の割り当てにあたって「比較審査方式」という手法をとっている。要は「官僚が審査して、一番いいところを選ぶ」という裁量行政のことだ。日本の2015年度の電波利用料金は年間747億円だが、仮に、これがオークション制度に移行すれば、毎年平均で数千億円、多い年は1兆円を超える収入が得られると推定されている。実際、各国でも数兆円規模の周波数の落札は多数の例が見られる。

 総務省は、こうした状況を「公共の資産である電波を売買の対象とすべきではない」と正当化しているが、結局のところ電波利用業者に多額の補助金をバラまいているようなものである。

 ただ、総務省も何もしていないわけではない。

 こうした関係を利用して、電波利用業者に基地局などのインフラを「行政指導」で作らせる、独特な関係を構築している。もちろん、関係業界団体への天下りの受け入れもセットである。つまり、「電波は大盤振る舞いしてやるから、俺たちの言うことを聞け」というわけだ。

 これはこれで、官僚が優秀で事業者との信頼関係があれば機能する制度だ。実際、日本の通信インフラ整備は他国に先んじてきた。こうしたズブズブな関係に切り込んだのがソフトバンクである。

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 総務省は12年3月、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスの携帯4社に、ほぼ平等になるように電波を割り当てた。そのわずか半年後の12年10月、ソフトバンクがイー・アクセスを買収して事実上電波を手に入れた。

 14年3月、ヤフーがイー・アクセスを買収して、社名を「ワイモバイル」にすると発表したが、同年5月にヤフーが買収中止を発表。同年6月にイー・アクセスがウィルコムを吸収合併し、同年7月にイー・アクセスが社名を「ワイモバイル」に変更した。

 極めて複雑である。電波という国民の貴重な財産を、総務省が管理しきれているのか。

 電波利権は、総務省が電波を格安で割り当て、代わりに民間事業者が行政指導を受け入れてきた。こうした「蜜月の時代」が、異分子の参入で終わりつつある。というより、終わるべき時が来ている。

 なお、日本でも、民主党政権時代、電波オークション制度導入を柱とする電波法改正案が国会提出されたが、12年11月の衆院解散で廃案となった。大変残念なことだ。

 ■宇佐美典也(うさみ・のりや) 1981年、東京都生まれ。東大経卒、経産省入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当後、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で電機・IT分野の国家プロジェクトの立案やマネジメントを行う。2012年9月に経産省を退職。現在、政策コンサルタントとして活躍する。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった』(中公新書ラクレ)など。

引用:産経ニュース

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